ならや本舗オンラインショップ | 書道、書道用品、筆、墨、墨液、硯、紙、半紙、画仙紙、御朱印帳、筆ペン、色紙、短冊、額、掛軸、各種取り扱い | 東京 品川区
※左に表示されているメニューがならやのロゴにかかって表示されている場合は、お手数ですが画像表示サイズを小さくしてご覧ください。画像表示サイズを小さくする方法:Ctrlキーを押しながら「-」ボタンまたはマウスのホイールを手前側に動かして調整してください
HPに掲載されていない商品もございます。お探しの商品が見つからない場合はメールまたはお電話でお問い合わせください
学校関係者様・法人様のお見積り依頼 承ります お気軽にお問合せください
TEL:03-6450-4551
※お電話での受付は店舗営業時間内とさせていただきます。(メールは24時間受付)
筆についてあれこれ
About the type of brushes
筆の造りについて
筆にはいろいろな形がありますが、ほとんどの筆に言えることは「筆管」と「穂首」からできています。筆管はストレート軸とダルマ軸があり、材質は竹や木、最近は樹脂系の軸もあります。穂首は大まかに芯毛、のど毛、腹毛、腰毛と分けられ、腰毛・腹毛・のど毛・芯毛の順に毛を巻いていくと筆の形になります。YouTubeなどで「筆の造り方」で検索すると色々な動画が出てきますのでそちらをご覧になるとわかりやすと思います。
筆の太さ・長さについて
穂首の太さは2号・3号・4号や大・中・小などメーカーによって様々です。また普通の書道筆は2号・3号・4号と数字が多くなるにつれてサイズが小さくなるのですが、書初用の木軸筆は7号・8号・9号と数字が大きくなるにつれてサイズも大きくなるので、ちょっと混乱するかもしれませんね。本来筆のサイズは〇寸〇分といった表記でしたが、便宜上〇号という今の表記を使い始めました。しかし、4号は穂径何㎜、8号は穂径何㎜といった具体的な数字では決められていないので、同じ4号筆でもメーカーごと又は筆の銘柄ごとでサイズが異なります
穂首の長さには短鋒・中鋒・長鋒という呼び方がありますが、穂の直径×2~3倍が短峰、3~4倍が中鋒、4~5倍が長鋒というように目安としての名称です。こちらもメーカーによって基準が様々です。 いま持っている筆の太さと長さを具体的なサイズを覚えておくと新しく筆を買うときの参考になるかもしれません。
筆のさばき方
穂先を糊で固めて販売している筆がありますが、筆は全て捌いてご使用ください。
捌き方は穂先からつまんで解していき、根元まで解したら全体を揉むと白い粉のようなもの(糊)が出てくるので、あまり出なくなるまでよく揉んでください。次に、ぬるま湯に穂先全体を浸けて揉み洗いをします。揉み洗いをしていると糊が溶けてヌルヌルしてくると思うので、それがなくなるまでぬるま湯を替えながら洗ってください。洗い終わったら水分を取って、穂先を整えて吊るして乾かします。そのまま使っても問題はありませんが、筆に含まれる水分で墨が薄くなるのでご注意ください。
筆の洗い方
太筆を洗う場合は、ぬるま湯で根元を揉むように墨が出なくなるまで洗ってください。毛細管現象で筆の根元にも墨が入っていきますので、穂先は比較的簡単に洗えますが根元の墨を洗い流すのは手間と時間がかかります。根気よく洗ってください。穂先が割れてしまうというご相談をよくいただきますが、そのほとんどが根元にたまった墨が固まってしまい穂先がまとまらなくなっていました。普段からよく洗うことで筆も長持ちします。
小筆の場合、写真のように腰毛の長さが芯毛より短くなっているような筆は、太筆と同じよ
うに洗ってしまうと、巻いてある白い毛の部分がバサバサになってしまうので、使用後は穂先
に水を浸けて紙でふき取る作業を何回か繰り返してください。
主な原毛の種類と特徴について
筆にはいろいろな獣毛が使用されています。動物の毛なので同じ馬毛でも個体差があるためコシが強かったり、毛先のばねが強かったりと毛質に特徴が出ます。職人はその特徴を見極めて毛をブレンドしながら硬さ、強さ、コシが同じになるように筆を作っていきます。最近は動物の食べている飼料が変わってきているのか、飼料を作る土壌が変わってきているのか分かりませんが動物の毛質が変わってるようです。特に羊毛は顕著に出ている気がします。今後は良質な原毛を手に入れるのが困難になってくると予想されます。今お使いのお筆を手入れしながら大事にお使いください。
下に主だった原毛の種類と特徴を記載しておきましたので、お筆購入の参考になればと思います。
馬毛
馬は、栗毛・白毛・青毛の三種類の毛色があり、体の殆どの部分が、筆の原料として使われます。 特に、尾脇毛と呼ばれる尻尾の付け根に生えている毛は、弾力があり、毛先が鋭く尖っていて、剛亳筆や兼毛筆によく使われます。中でも白馬の尾脇毛は良質です。胴の毛は、柔らかく光沢があって、先が細く滑らかですので、太筆の衣毛、細筆の芯や衣毛に使われます。栗毛馬の腹の毛は、薄茶色で柔らかく、腹毛と呼んで衣毛に使われますし、尻尾や鬣(たてがみ)は、太筆の根元に力毛として使います。アメリカ・カナダ産のものが、品質が良いのですが、入手が難しくなっています。
羊毛
筆に使われる羊毛とは山羊の毛のことを指します。山羊の中でも中国江蘇省の長江下流の地域で飼育されている 食用の山羊が、筆の原料となります。他の地域の山羊では毛の弾力が足らず使用できません。一匹の山羊の毛は 部位によって何十種類にも選別され、雄山羊の首筋の一部から取れる上質の毛を細光鋒と呼び、毛筆原料の絶品 として古くから知られています。逆に背の部分の毛は粗く、毛先が近いので筆原料としては良いものではありま せん。したがって、一番安価なものから最高級品まで、一匹の山羊から作ることが出来るといっても良いでしょ う。
【細光鋒(さいこうほう)】 毛先が遠く細いが、毛の根の方がしっかり していて、全体的にほど良い弾力があります。 原料が希少であるため、細光鋒を使用した純羊毛筆は最高級品といえます。
【細嫩光鋒(さいどんこうほう)】 細光鋒と同じ部位ですが、若い山羊の細光鋒 を細嫩光鋒と称しています。毛が細いので弾 力がありません。
【細直鋒(さいちょくほう)】 羊毛は基本的に雄の毛のみを筆の原料としますが、細光鋒にあたるメスの部位を細直鋒といいます。毛が短いの で出鋒 5 ㎝程の筆が最大となります。
【細長鋒】 羊毛の中で一般的によく使われる原料ですが、毛の品質がまちまちなので、細長鋒の羊毛筆といってもさまざま なものがあります。
【粗光鋒】 毛先が近く、毛質が粗いので原料として上質とはいえませんが、毛の持つ弾力がありますので、これを主原料と した羊毛筆は扱いやすいものとなります。
【透爪鋒】 毛が短いので小筆に使用されます。ほど良い弾力があり、仮名用筆に向いています。
【羊毛・ひげ】 弾力が強いので、筆の弾力を持たせるために腰毛として混ぜて使用します。
イタチ毛
筆の原料として使用できる部位は尾の上側のみで、その他の毛は短くて使用出来ません。 寒い地方のイタチほど毛が長くしっかりしています。採れる地域により毛の持つ特徴がそれぞれありますので、用途にあわせて使い分けています。筆に使われるイタチは中国・ロシア産のものがほとんどですが、ロシア産のものをコリンスキーと呼んでいます。動物の毛全般に 言えることですが、雌より雄の毛の方が長く弾力があで、イタチも雄の毛を使った筆が良いものになります。イタチを中国語で黄狼(ホワン ラン)というのでイタチ毛の筆を狼毛筆と呼びます。イタチ毛は主に細筆の原料となりますが、毛が最長でも8㎝程で、出鋒6㎝程が最も大きいイタチ毛の筆になります。イタチの長い毛は大変希少であるためイタチを主原料とした太筆は高価になります。 毛質はほど良い弾力があり、毛先が鋭くまとまります。紙あたりが良く、なめらかに滑ります。トメ、ハネ、ハライがきれいに表現できる特徴がありますので、楷書、行書、仮名向けの筆に使われます。 現在はイタチ毛の入手が難しくなっており価格が高騰しています
兎毛
兎の毛には、「紫亳」「花毫」「白毫」と主に三種類あり、 いずれも毛先が鋭く尖って弾力があり、細筆の命毛になどに使われています。その中でも「紫毫」は黒色で最も先が鋭く弾力があり一番良い毛とされています。「花毫」も同じ黒色の毛ですが、よく見ると少し白みがかっていて、紫毫に準ずる品質とされています。「白毫」は紫毫と花毫の間に位置付けされている毛質で、色は白色ではなく正確には薄茶色です。
玉毛
猫毛は「玉毛(たまげ)」と呼ばれ、程よい弾力があり毛先がよく利き墨持ちがよい毛質です。とにかく綿毛を取る下処理が大変で、100gの毛から筆として使える毛は5~10g程度しか取れないそうです。玉毛と呼ぶ理由は、毛の先端に近い部分が球状になっていることから、このように呼ばれています。一般に白色の毛を「白玉」茶色の毛を「茶玉」と呼ばれています。
狸毛
毛先が鋭く弾力があり、毛が長いことから、主に太筆の命毛として使われます。特に毛先が薄茶色の毛は「白狸」と呼んで、量も少なく特に珍重されます。現在は狸毛のほとんどが中国産になっていますが、中国の狸とは貉(ムジナ)=アナグマのことで、日本の狸とは種類が違います。毛質も日本の狸より少し粗い感じになります。
鹿毛
毛は太くて硬く、先は鋭く尖っています。毛の根元が空洞になっていて、墨の含みがよいのが特徴です。弾力は強いのですが、まとまりに欠けますので、穂の根元に力毛として使います。夏に取った毛を夏毛、冬に取った毛を冬毛と呼びます。また、下腹部、内股の毛は「白真」(しらじん)と呼ばれる逸品です。